私が家を買うときに頭金なしで83歳までの長期フルローンにした理由|住宅ローン控除と投資の最適バランスを考える

「頭金は入れた方が安心」「ローンは短くすべき」と言われがちですが、私はあえて頭金なし・83歳までの長期フルローンという選択をしました。

理由は単純です。

「住宅ローンの低金利を活かして、控除と投資の両方を最大化したかった」から。

実際、今の時代は住宅ローンの金利(1%前後)よりも、投資信託やETFの平均利回り(4〜7%)の方が高いことが多いです。

また、住宅ローン控除・iDeCo・新NISAなど、国の優遇制度を組み合わせることで、借金を“攻めの資産形成”に変えることができます。

この記事では、私が頭金なし・長期フルローンを選んだ6つの理由と、6000万円のローンを想定した具体的なシミュレーションを紹介します。

目次

私が頭金なしで住宅ローンをフルローンにした6つの理由


私が頭金なしで住宅ローンをフルローンにした6つの理由は下記の通りです。

  • 理由①:住宅ローン控除をフルで活用するため
  • 理由②:住宅ローンの金利よりETFや投資信託の方が利回りが良い
  • 理由③:iDeCoで所得控除を活用するため
  • 理由④:NISA1800万円分(夫婦で3600万円分)で複利のパワーを活用したかった
  • 理由⑤:無駄遣いせず、いつでも返すことができる状態にしていればOK
  • 理由⑥:団体信用生命保険(団信)が“究極の保険”になるから


それぞれについて解説していきます。

理由①:住宅ローン控除をフルで活用するため

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高の0.7%(最大13年間)が所得税・住民税から控除される制度です。

つまり、借入額が多いほど控除額も大きくなります。

頭金を多く入れると、借入額が減る=控除額も減少します。
一方、フルローンにすれば、最大限の控除をフルに活用できるのです。

たとえば6000万円を借りた場合、初年度の控除額は約42万円。
13年間で総額約300〜400万円の節税効果が見込めます。

住宅ローン控除は「借りた人しか受けられない制度」。

現金一括購入や頭金を多く入れるほど、この恩恵を受けられなくなるのです。

理由②:住宅ローンの金利よりETFや投資信託の方が利回りが良い

現在の住宅ローン金利は、変動で0.5%前後、固定でも1.3%前後。(これから金利は上がると言われていますが)

一方で、米国株式や全世界株式の平均リターンは年率5〜7%

代表的なETFを例に挙げると、以下のようになります。

銘柄内容平均利回り(年率)
VTI米国株式全体に分散約7%
VOOS&P500連動ETF約7%
VYM高配当ETF約3〜4%+配当
HDV安定配当ETF約3.5%+配当
SPYD高配当ETF約4〜5%+配当
S&P500投信/オルカン積立投資の定番約5〜6%

ローン金利が1%で、投資リターンが5%なら、「4%の利回り差」で資産が増えていくことになります。

頭金を入れてローンを減らすよりも、その資金を投資に回した方が、

長期的には資産が大きくなるという考え方です。

理由③:iDeCoで所得控除を活用するため

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除の対象です。

たとえば月3万円を積み立てると、年間36万円の所得控除。

所得税・住民税率が30%の場合、年間10万8000円の節税になります。

住宅ローン控除と合わせれば、「借入残高で節税」しつつ「iDeCoで節税+老後資産形成」が同時にできるわけです。

さらに、iDeCoでもS&P500やオルカンを選べば、長期で安定した複利成長を得られます。

頭金を使わず、iDeCoに回すことで、

節税+資産増加のダブル効果を得られるのがポイントです。

理由④:NISA1800万円分(夫婦で3600万円分)で複利のパワーを活用したかった

2024年からの新NISAは、生涯投資枠1800万円(非課税)が用意されました。

夫婦であれば3600万円分を非課税で運用できます。

仮に年利5%で20年運用した場合、複利効果で以下のような結果になります。

投資額20年後利益
1800万円約4,775万円約2,975万円
3600万円約9,550万円約5,950万円

住宅に頭金を入れてしまえば、この非課税運用のチャンスを逃すことになります。

逆にフルローンにして現金を手元に残しておけば、NISA枠を活かして“お金を働かせる”投資ができます。

理由⑤:無駄遣いせず、いつでも返すことができる状態にしていればOK

フルローンはリスクが高いと感じる人もいますが、大切なのは「返済できるだけの資産を確保しているか」です。

現金2000万〜5000万円を手元に置いておけば、いざとなれば一括返済も可能。

つまりいつでも返せるけど、今は返さないという戦略です。

このスタンスなら精神的にも余裕があり、資産を運用しながらローン控除も受けることができます。

ローンを敵とせず、「資産運用を支える低金利の味方」として活用する視点が大切です。

理由⑥:団体信用生命保険(団信)が“究極の保険”になるから

住宅ローンを組むと、ほとんどの金融機関では団体信用生命保険(団信)の加入が義務付けられています。

これは、もしローン契約者が死亡・高度障害になった場合、残りの住宅ローンが全額免除になる保険制度です。

つまり、ローンを組んでいる間に万が一のことがあっても、家族には無借金のマイホームが残るということ。

たとえば6000万円のローンを組んでも、団信があれば「生命保険の代わり」として家族の住居を守ってくれます。

また、最近は「がん団信」「三大疾病団信」などの付帯プランも充実しており、がん・心筋梗塞・脳卒中などの診断時点で残債がゼロになる商品も増えています。

つまり、フルローンは単なる“借金”ではなく、生命保険+住宅購入がセットになった資産形成ツールともいえます。

現金一括で買った場合、このような保障はありません。

フルローンを選ぶことで、「投資を継続しながら、家族への保障を確保できる」

これが私が長期ローンを選んだ大きな理由の一つです。

シミュレーション:6000万円のローンをフルローンで50年借りて、年利5%で運用した場合


ここからは実際に数字を見てみましょう。

ケース①:現金2000万円を持っている場合

2000万円を頭金にせず、年利5%で50年間運用した場合、複利計算では以下の結果になります。

2000万円 × (1+0.05)⁵⁰ = 約2億2,900万円

住宅ローン(6000万円・金利1%・50年)の総返済額は約7,750万円。

運用益を差し引いても、約1.5億円以上のプラスです。

ケース②:現金5000万円を持っている場合

同様に5000万円を運用に回すと、5000万円 × (1+0.05)⁵⁰ = 約5億7,200万円

ローン返済後も、約5億円の純資産が残る計算になります。

もちろん実際の投資は上下しますが、長期的に見れば「借りながら増やす」戦略が合理的だとわかります。

“借金”ではなく、“低金利レバレッジ”という考え方

住宅ローンを借りる=マイナスではなく、低金利で国からお金を借りて資産を運用する手段だと考えています。

しかも住宅ローンには、

  • 金利が極めて低い
  • 団信で生命保険代わりになる
  • 住宅ローン控除が受けられる
    という3つのメリットがあります。

この条件を満たすローンは、他に存在しません。

だからこそ「長期フルローン」は“攻め”ではなく、最も守りの効いた資産形成戦略でもあるのです。

まとめ|フルローンは「借金」ではなく「資産形成の手段」

頭金なし・長期ローンというと、一見リスクのように見えます。

しかし、住宅ローン控除・iDeCo・NISA・団信など、国の制度と投資の仕組みを理解すれば、非常に合理的な選択であることが分かります。

私にとってフルローンは「家を買うための借金」ではなく、家と資産の両方を手に入れるための戦略的レバレッジです。

・借入で控除を最大化
・資金を投資に回して複利を育てる
・団信で家族の生活を守る

この3点を同時に叶えるのが、「頭金なし・長期フルローン」という選択でした。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次